旅のメニュー(その3)
−兵士達の太平洋横断−


Military Sea Transportation Service - MSTS / 1957年(昭32)
   隊列を組んで航行する輸送艦−その上には天使?と星が舞うというファンタジックな表紙のメニューは、1957年(昭32)元旦に、太平洋地域の米海軍輸送部隊に所属する一隻の船内で出された夕食です。

 この部隊は、兵士や資材の輸送が任務で、米西海岸と極東地域(日本や韓国)を結んで、定期便を運航していました。


 下はそのメニューの中身。
 左ページには、当時の輸送艦の写真とともに、正月の祈りの言葉が書かれています。(日本人が初詣で祈るのと同じく、キリスト教の欧米人もやはり元旦は神に祈るのか・・・)

 メニューはタイプ打ちされた簡素なものです。どれが正月らしい献立なのかは判りませんが、フルーツケーキがデザートでついたりするあたりが、多少豪華なのかも?
   
 
Pan American Airways / 1960年代前半
   
 パン・アメリカン航空の1960年代前半頃の朝食メニュー。表紙には、当時の主力機・ボーイング707型ジェット機の勇姿が、目も覚めるような素晴らしいイラストで描かれています。ボーイング707は、大陸間を飛行可能な初の本格的ジェット機であり、パン・アメリカン航空が最初に就航させました。メニューの表紙ににも見えるように、同社では"インターコンチネンタル・ジェット・クリッパー"という愛称で呼んでいたようです。

 このメニューが配られた便は、一般旅客用ではなく、米軍がチャーターした、軍用特別便でした。(MATSチャーター便という。当館でもベトナムへの便の時刻表を紹介しています。)
 上右はメニューに書かれた挨拶文で、直訳すると『パン・アメリカンは、太平洋横断のMATS特別便に御搭乗の貴方を、自信をもって歓迎します。』と書かれています。
     
MENU (右の画像を参照)

 冷たいオレンジジュース
 コーンフレーク
 パンケーキ
 ソーセージ
 デニッシュ
 コーヒー 紅茶 牛乳
 
 MATS(Military Air Transport Serviceの略)は、1950年代から60年代に存在した米空軍の軍用輸送部隊で、世界的規模で軍人や軍用物資の輸送を行っていました。輸送にあたっては軍用機のほか、一般の航空会社からのチャーター機も使われ、太平洋地域では米本土から日本や東南アジア向けの特別便が運航されていました。
 メニューに『太平洋横断便』と書かれているところをみると、このメニューが出された便も、横田基地あたりに発着したのかもしれません。

 ちなみに、こうした軍用特別便では、酒類の提供は法律で禁じられているとの由。そのような注記が、メニューに書かれています。

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